「出陳拒否」と「任命拒否」の共通点
全く次元が異なることは承知の上で敢えて比べれば、TICA Asia Region(当時)における「出陳拒否」と、菅義偉首相が日本学術会議の会員候補の「任命拒否」問題は、民主主義の根本原則のところでいくつかの共通点が見て取れます。
【「拒否権」はあるかないか】
日本学術会議の「任命拒否」問題では、首相に拒否権があるかどうかが争点に浮上しています。首相に「任命権」はあっても「任命拒否権」はないとの指摘が出ています。
TICAにおける「出陳拒否」は確かに、Show Rule 23.6に規定がありますが、あくまで限定的なものであり、Judgeや出陳者に暴力を振るったり、ショー会場内で出陳者の財布を盗むなど窃盗を働いたりするなど、誰にとっても誰から見ても「有害」な場合に、「出陳拒否」できるというものです。
しかし、主催クラブはそうではなく、自分の意に沿わない出陳者、自分たちや自分たちのクラブに楯突く出陳者を排除するために「出陳拒否」したところに大きな問題がありました。
日本学術会議の「任命拒否」問題も、報道などによると、「任命拒否」された6人は、特定秘密保護法や安全保障関連法の制定、共謀罪の新設などで反対したり、政府を批判したりした学者だと言われており、自分の意に沿わない学者、政府の方針に楯突く学者を排除するために「任命拒否」したと映ります。
【民主主義の根本である「自由」の侵害】
「出陳拒否」問題は、「言論の自由」を巡る問題でもありました。
〝動物虐待〟紛いのショーを開くクラブを批判してはならないのか、度重なるルール違反を違反とも思わず、恣意的な解釈で適用して構わないのか、そもそも不当な「出陳拒否」に対して声を上げることが許されず、泣き寝入りしなければならないのか--。
ブログで何かを書くと「出陳拒否」するのであれば、それは「言論の自由」に対する侵害にほかならないというわけです。
日本学術会議の「任命拒否」問題は、「学問の自由」を巡る問題であり、「学問の自由」を侵害する行為といわれており、民主主義を支える「自由」の否定、「自由」の侵害という点で共通しています。
【「説明責任」を果たそうとしない】
TICA Asia Regionにおける「出陳拒否」は問答無用で行われました。
なぜ、「出陳拒否」されなければならないのか--。主催クラブ/ショーコミッティー側は一切、口を閉ざしました。(※裁判を通じて理由らしき事情は明らかになりましたが、正当性・合理性があるかどうかは別問題ですし、その時に「説明責任」を果たさなかったことに変わりはありません)
日本学術会議の「任命拒否」問題も、いつ誰が判断したのかの経緯が不明なほか、何より重要な「任命拒否」の理由が分かりませんし、首相も政府も明らかにしようとしません。
【日本もTICA Asiaも民主主義的なのは形式だけ?】
日本の民主主義がもともと形だけのものであったのか、それとも形骸化したり、退化したりしているのかの議論は措くとしても、TICA Asia Region(当時)も、今のTICA Asia East Regionも、形式的には民主主義的でありながら、民主主義の機能は全く働いていないと言わざるを得ません。
日本の政治体制がそうなのだから、「趣味の世界」の組織も同じ…という方が納得してしまいそうになりますが、私には「趣味の世界」だからこそもっと「自由」が尊重され、自由闊達であるはずだと思えてなりません。
日本学術会議の「任命拒否」問題が「趣味の世界」の組織にとっても決して他人事でないということだけは、TICA Asia East Region Directorをはじめ、少なくとも日本のクラブ代表/Judgeは理解しておく必要があるでしょう。
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