12月5日上田ショー「感染防止策」の疑問⑤持病・高齢者の参加が前提?
「感染予防は完全には出来ません。持病がある方やご高齢の方もおります」--。
12月5日(土)に長野県上田市でショーを開催するクラブがクラブサイトにアップした「出陳におけるお願い」の「注意事項」に上記の記載がありました。
【持病があり高齢の出陳者を前提とするのは…】
果たしてこれは主催クラブとして適切な「対策」ということができるのでしょうか。
参加者全員の「安全・安心」を考えるなら、主催者、Judgeを含めて「持病がある方やご高齢の方」は参加を控えるのが筋であるように思うわけです。
私の感覚では、「感染予防は完全には出来ません」というのであれば、主催者、Judgeは「持病」がない人、「高齢」でない人をそろえた上で、出陳者に対しては具体的なリスクを示した上で「持病がある方やご高齢の方は参加を控えていただくか、参加を検討される場合もあらゆる事態を想定して慎重に判断していただければと思います」といった感じにするのが社会常識に沿った「お願い」ではないかと思いました。
【高齢だと感染しやすく重症化しやすい】
あくまで一般論ですが、新型コロナの国内外での分析によると、高齢になればなるほど比較的健康であっても感染し、重症化する可能性が高いことがわかっています。
重要なのは「比較的健康であっても…」というところであるとともに、「感染しやすく」「重症化しやい」というところです。
もし主催クラブが本当に高齢の出陳者に寄り添い、高齢の出陳者の「安全・安心」を考えるなら、「高齢になればなるほど比較的健康であっても感染し、重症化する可能性が高い」ことを記載し、注意喚起すべきでしょう。
「感染予防が完全に出来ない」のなら、なおさらということになるわけです。
【「持病」と「基礎疾患」は違う】
「出陳におけるお願い」では「持病」という言葉を使っていますが、「持病」と「基礎疾患」は異なりますし、新型コロナにおいては大切なところですから「基礎疾患」という言葉を使うべきでしょう。
「持病」は高血圧、高脂血症、生活習慣病全般が入りますが、「基礎疾患」は厚生労働省が具体的な疾患を定めています。
※厚生労働省の「基礎疾患を有する方へ-新型インフルエンザの優先接種の対象とする基礎疾患の基準」手引き(概要)」はこちら
https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu091028-02.pdf
「基礎疾患」を持つ人には特段の注意が必要とされているわけですから、「持病」という曖昧な表現を使い、「持病がある方やご高齢の方もおります」と、こうした人たちの参加が前提であるかのような記載をするのは問題があると言わざるを得ません。
【高齢になればなるほど致死率も高まる】
8月5日時点の日本のデータによると、致死率は80歳以上で23.0%、70代で10.9%、60代で3.5%、50代で0.7%、40代で0.3%、30代で0.1%です。
「致死率」も考え合わせれば「持病がある方やご高齢の方もおります」と言い切ってしまうことがどれだけ怖ろしいか、そして「感染予防は完全には出来ません」と断言した後で「持病がある方やご高齢の方もおります」と続けること無神経さに背筋が凍る思いがします。
日本の「致死率」は平均で1.8%程度とされ、確かに米国(約2.8%)、インド(約1.6%)、ブラジル(約3.3%)と比べれば低いですが、100年前に猛威を奮った「スペイン風邪」は1.6%台と考えられていますから、その怖ろしさを過小評価してはならないでしょう。
【後遺症リスクを忘れてはならない】
新型コロナに感染して発症し、その後、回復しても「後遺症」に悩まされるケースが多いことは、8月20日のブログでお伝えしたとおりです。
「持病がある方やご高齢の方」でなくても「後遺症」が残り、報道によると血管障害が多数報告され、血栓ができやすくなり、脳卒中、脳梗塞の発症リスクも統計的に有意に高まるとの所見もあるそうです。
これだけ文字で埋め尽くすような「お願い」を出すのであれば、主催クラブ/ショーコミッティーは「感染予防は完全には出来ません」で終わるのではなく、「現時点では有効なワクチンも治療薬もなく、たとえ回復しても後遺症が残る可能性が指摘されています」と続けるべきでしょう。
今、日本で多くのイベントが再開されつつありますが、まるで当たり前のように「持病がある方やご高齢の方」の参加を前提としたイベントはこのクラブのキャットショーぐらいかもしれません。
主催クラブ/ショーコミッティー、Judgeが全て「基礎疾患」があるか「高齢」であるなら、感染しやすく重症化しやすく致死率も高いことを考え合わせれば〝自殺行為〟と言われてもおかしくなく、ワクチンや有効な治療薬/治療法が確立されてからショーを開くべきでしょう。
TICA Asia East Regionとしての「ガイドライン」を作らないと頑なに拒むのであれば、Asia East Region Directorは「持病がある方やご高齢の方」の参加を前提とすることがTICAの看板に相応しいキャットショーのあり方と言えるのかどうか、各主催クラブの「感染防止対策」についてひとつひとつしっかりとチェックすべきだと思います。
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【注目ニュース】※随時更新しています。
◆東京都で26日、新たに270人の感染が確認されました。200人を超えるのは7日ぶり、250人を超えるのは16日ぶりです。
◆神奈川県で26日、新たに91人の感染が確認されました。
◆大阪府で26日、新たに66人の感染が確認されました。
◆愛知県で26日、新たに24人の感染が確認されました。
◆福岡県で26日、新たに6人の感染が確認されました。
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