「改正動物愛護法」に基づく「環境省令」の「飼養管理基準案」を巡り、TICA Asia East Region公式サイトで「お知らせ」が掲載されたため、昨夜、Region Directorに対して厳重抗議したところ、昨夜のうちに次のような記載に修正されました。
「リジョンとして下記を提出するため、先ほどこちらを掲載いたしましたところ、参加者の中から○○宛、内容に対する抗議がありました。何人かの方からいただいた下記内容は、TICAの名前は一切出さず、○○個人として提出させていただきます」ーー。
その後、再び修正され、上記の記載並びに下記で論評する「改正内容」なるものも全て削除されました。
一般メンバーの方々には何が問題で、私がなぜ厳重抗議したかが分からないと思いますので、当初の「お知らせ」の掲載に基づき説明します。
◆知らぬ間に勝手に「採決」の暴挙
8月1日に開催された「オンラインミーティング」では確かに「改正動物愛護法」が話題に上り、意見交換がありました。
しかし、そもそも「オンラインミーティング」のテーマとして「改正動物愛護法」を取り上げるとの事前連絡はなく、Region Directorが唐突に持ち出したものでした。
参加者それぞれに関心を持っていたとは思いますが、参加者の何人が「改正動物愛護法」を読み込み、2018年3月から始まった環境省の「動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会」の資料を調べ、超党派の「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」の案や公益財団法人動物環境・福祉協会Evaの主張などを確認したでしょうか。
そうした準備がない中で、いきなり意見を聞くのも常識に欠けると思いますが、何より手続き的な根拠がなにひとつ決まっていないのに、勝手に「採決」があったことにして「採決により可決 賛成16名 反対1名)とRegion公式サイトで掲載したのには仰天しました。
◆手続き無視、段取り無視の「大暴走」
1日の「オンラインミーティング」は全クラブ代表/Judgeが参加したわけではありませんでした。
私はRegion Directorに対し、①参加者の多数で「リジョンとして下記を提出」するという手続き的規定はいつ誰が決めたのか、②参加していないメンバーの賛否は聞かなくていい、あるいは棄権票として処理する手続き的規定はいつ誰が決めたのか、③「可決」するには手続き的規定として「全員賛成」「3分の2の賛成」「過半数の賛成」など様々ある中で、何に基づいて今回「採決により可決」としたのか、④TICAのルールあるいはRegionのルールとして、Directorにこうした採決を行う権限が明記されているか--を問い質しました。
何かを決める手続きも定めず、いきなり意見を聞いただけで「採決」したと書き、加えてTICAの名前まで持ち出して意見を送るのは、Region Directorの裁量権を逸脱した「大暴走」以外のなにものでもありません。
仮に百歩譲って意見を送ることを「採択」したとしても、次の段階として「こういう項目立てで、こういう文言で送りたいと思いますがいかがでしょうか」と確認を取るのが社会常識であって、それは国際会議のみならずどんなに小さな「趣味の世界」の組織でも同じでしょう。
国際団体のDirectorとして意見を送るのであれば、国際団体のDirectorとして相応しい認識と見識に基づき、相応しい書き方で送ってもらわなければ組織全体、メンバー全員が恥ずかしい思いをするのです。
Region Directorの「大暴走」の原因は、自分がTICA Board Memberのひとりであること、Region Directorであるということ、そしてそれなりの世間体と責任を背負っていることの自覚に欠けているところにあると言わざるを得ません。
◆間違った認識で間違った言葉使いの「愚」
削除前のRegion公式サイトによると、リジョンとして提出する内容は下記であると書いていました。
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■改正自体は問題ないが、コロナ渦の現在では時間の猶予が欲しい。
■専門家を交えた話し合いの場にTICA・CFA・ブリーダーの加入を検討していただきたい。
理由
■家庭飼育のブリーダーの多くが終身飼養を重んじる。
25頭の中にそれらをカウントされるとすぐ里親を探せる猫ばかりを抱えているわけではないので、時間の猶予をいただきたい。
■家庭で繁殖をしているブリーダーがケージを買い換える必要がある場合、短期間に簡単に買い換えることは困難である。
これらを考慮していただけないと、廃業を迫られる優良ブリーダーが出てしまう恐れがある。
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しかし、「改正」はあくまで「動物愛護法」であって既に改正済みであり、今話題になっているのは「飼養管理基準」としての「環境省令案」なのです。
私は、オンラインミーティングに於いて、「改正自体は問題ない」かどうかの賛否を問われた覚えはなく、「コロナ渦の現在では時間の猶予が欲しい」への賛否を問われてもいません。
それに「時間の猶予が欲しい」といっても、それを「コロナ禍」のせいにするのは論理の飛躍があり過ぎます。
なぜなら「飼養管理基準」をどうするかは2018年3月から「検討会」での議論がスタートしたわけですし、それぞれの団体が案や主張をすでに出し合って「基準案」がまとまった段階にあるわけです。
これまで無関心で勉強も調査もしてこなかったにも拘わらず、自分たちに都合が悪そうだと慌てて「猶予」を願い出るなど身の程知らずもいいところだと冷笑されかねません。
◆今から「入れてほしい」の図々しさ
「専門家を交えた話し合いの場に加入を検討していただきたい」とも申し入れるとのことでしたが、これについても関係者・団体から「何様のつもりなのか」と厳しいお叱りを受けることは間違いないでしょう。
専門家を交えた話し合いは、「専門家」並みの知識と見識があってのことであり、他の動物愛護団体がこれまでどれだけの努力を積み重ねて入ったり、ヒアリングに呼ばれたりしたとRegion Directorは思っているのでしょうか。
動物愛護に人生を捧げた多くの人々の長年の努力に思いを至らせずに「加入」を口に出すなど、「一体どの口が言わせているのか」と非難されても返す言葉などないはずです。
それにRegion Directorは何に「加入」したいと言っているのか良く分かりませんでした。
「動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会」のことなのでしょうか。
2018年3月から始まって、もう最終コーナーを回った段階で入れて貰えるとRegion Directorが本気で思っているのだとしたら、世間知らずも甚だしいと言わざるを得ません。
◆「飼養基準案」は3つだけ?
Region Directorは「改正内容」と称して、Region公式サイトに3つだけ記載しましたが(既に削除済み)、意見や要望を送ることに鑑みれば極めて疑問です。
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改正内容
★従業員1人あたりの上限飼育数は、繁殖業者では繁殖用の犬15匹、猫25匹。
(ペットショップでは犬20匹、猫30匹)
★猫の飼育施設は、広さに関する計算式を規定したのに加え、平飼い用ケージでは猫が乗れる棚を
2段以上設置した構造にする。
★繁殖については、犬猫ともに交配できるのは6歳まで。(例外的に7歳まで認める場合もある)
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「飼養管理基準案」を読んでもらえれば分かりますが、詳細かつ精緻に組み立てられています。
詳しく知らないTICAメンバーであれば、3つしかないと思い込んでしまうかもしれませんし、その他の項目もあると知っているなら、その他は一切問題がないかのような印象を与えかねません。
1日の「オンラインミーティング」に参加していない人のためにお伝えしますが、ミーティングでは全ての項目について詳細に検討し、意見を聞いたわけではありません。
思い付き程度の会話しかなく、中には「飼養管理基準案」を読み込んでいないと思われる的外れな発言もありました。
◆「意見」と「理由」は論理的に破綻
Region公式サイトの記載自体がいい加減なので、推察するしかないのですが、上段2項目が「意見」で、「理由」と書いてある下の2項目4行がその名の通り「理由」なのでしょう。
本来であれば、上段の「意見」と下段の「理由」の間には論理整合性がなければなりませんが、Region公式サイトの記載は全くそうなっていません。
国際団体のDirectorとして提出するには余りに稚拙であり、TICAの団体としての信用と評判を損ないかねませんでした。
◆常識外れであり得ない意見
意見らしき項目の冒頭に、「■改正自体は問題ないが、コロナ渦の現在では時間の猶予が欲しい」とありますから、Region Directorは「飼養管理基準」全項目にわたって「猶予」措置を求めているものと思われます。
ですが、どれか1項目だけだとしても「猶予」を求めるなど極めて困難なのに、全部など可能性ゼロだと言うことがなぜ分からないのでしょうか。
「環境省令」の施行日は7月31日に閣議決定され、「飼養管理基準」は来年6月1日施行と決まったわけです。
施行「猶予」という重大なことを求めるのなら「閣議決定」前に申し入れなければ事実上無理であるという社会常識すらないのでしょうか。
やること為すこと考えること全てに於いて全く理解できませんでした。
◆行政への「要望」「陳情」「請願」等の経験がどれだけあるか?
Region Directorは国や自治体など行政への陳情活動やロビー活動にどれだけ携わってきた経験があるのでしょうか。
経験が無くても見よう見まねでできると思っているのならあまりにお気楽で稚拙な発想としか言いようがありません。
私的には、「下記内容は、TICAの名前は一切出さず、○○個人として提出させていただきます」という記載した以上、Region公式サイトから全てを削除すべきだと思っていました。(※再度の修正で全て削除されました)
なぜなら、TICAの名前は一切出さず、個人として提出するなら、TICA Asia East Region公式サイトで掲載する正当な理由も合理的根拠もなくなるからです。
個人として提出するなら個人のサイトやブログで掲載すべきことであり、最初の修正の段階で「公私混同」であることに気付き、削除してほしかったです。
私は、Region公式サイトに掲載された意見の内容(※既に削除済み)には重大な問題があって、TICAの名前を使って提出することと共に、TICA Asia East Region公式サイトで掲載すること自体、TICAという国際団体の信用と評判を貶めることにつながると厳重抗議したのですが、残念ながら私の真意はすぐに伝わらず、Region Directorは小手先の文章の修正でお茶を濁して済むと思い込んだのは極めて残念でした。(※最終的には気付いて削除したようです)
TICA Asia East Region Directorにおいては二度とこのようなことのないよう猛省し、国際団体としてのTICAに相応しい(恥ずかしくない)情報を発信していただきたいと思っています。
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