【TICA】Winter Meeting 議事録から⑪(続)Master Clerkの資格取得要件について
昨日お伝えしたClerking Program 51.2.4.3.3の見直しについてですが、Asia East Region公式サイトの「 2020年WinterMeeting議事録(一部抜粋)日本語」によると、「a mentor (who is an experienced TICA Master Clerk)」の日本語翻訳について「メンター(経験豊かなTICAのマスター・クラーク)」となっていました。
しかし、私はこの翻訳に疑問を感じています。
その根拠は以下の通りです。
①もし、仮に「経験豊かな」という翻訳が正しいとすると、何を以て「経験豊か」とするのか極めて曖昧であるということです。
能力の高い人であれば、3~5回ほど経験するだけで、「経験豊かな」マスタークラークになれるかもしれません。
一方、そうでない人は10~20回経験を積んでも、「経験豊かな」マスタークラークとは言えないでしょう。
②この翻訳が本当に正しいかどうかも問題です。(※ここで言う「本当に正しいかどうか」というのは、TICAのClerking Programの翻訳として適切でふさわしいかという意味です)
「experienced」を辞書で引くと、「経験のある」「経験を積んだ」から、「老練な」「熟練した」「経験によって熟達した」「知識が豊富な」まで幅広い意味合いを含んでいることが分かります。
新ディレクターはおそらく、後者の意味合いから「経験豊かな」と訳したのだと思いますが、果たしてこれがTICAのClerking Programとして正しいと言えるでしょうか。
そこで「経験豊か」「経験豊かな」という日本語を辞書で調べて見ると、「experientially enhanced」「veteran」という英語になります。
「経験豊富な」で引くと、「richly experienced」「vastly experienced」「very experienced」となります。
そうなってくると、今回のTICAのClerking Programの記載は、あくまで「a mentor (who is an experienced TICA Master Clerk)」ですから、単純に「経験のある」、あるいはせいぜい「経験を積んだ」と翻訳すべきではないでしょうか。
もちろん、こうした規則やルールの記載において、「an experienced」を使った場合は一般的に「熟練した」「経験によって熟達した」「知識が豊富な」を意味するという主張もあるかもしれません。
そうした場合には、新ディレクターはそこまで踏み込んで解説しなければなりませんし、そうした解説をしてこそディレクターとしての職務を果たしたと言えるのではないでしょうか。
このClerking Program 51.2.4.3.3の見直しのもとで、TICA Asia East Regionにおいて有能なマスタークラークが育つとは思えません。
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