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2018年11月17日 (土)

TICAアジアにおける”名義の冒用”問題を考える②

名義や肩書の「冒用」という行為はそれ自体が問題であるだけでなく、犯罪行為の構成要件になりかねない点も踏まえておく必要があると私は思っています。

例えば「有印私文書偽造罪」等の罪--。

作成権限を有しない人が、他人名義を冒用して文書を作成すれば、実質的に名義人と作成者の人格と食い違うということになるわけで、「偽造」と判断されることになるのは最高裁の判例(最判昭和59年2月17日、最決平成5年10月5日)が示しているとおりです。

前セクレタリー(現Asia East Director)が提出した「プロテスト」の「共同申立人」名簿には、架空のメンバーはいなかったようですが、もし架空の名義も含まれた「共同申立人」名簿だったら、もっと大きな問題になっていたところでした。

「冒用」は「名義」だけではありません。

「肩書」を「冒用」した場合、その「肩書」が特に意味を持つ場合には、私文書偽造等の罪に問われる場合があります。

ちなみに、私たちがよく耳にする「私文書偽造罪」は、細かく分けると「有印私文書偽造罪」「有印私文書変造罪」「無印私文書偽造罪・無印私文書変造罪」「偽造私文書行使罪」と細かな種類に分かれていきます。

また、「有形偽造」と「無形偽造」があり、「有形偽造」とは「作成権限のない人が他人名義の文書を作成すること」、「無形偽造」は「作成権限のある人が真実に反する内容の文書を作成すること」を指します。

私文書偽造罪」の構成要件は①行使の目的で、②他人の印章もしくは署名を使用して、または偽造した他人の印章もしくは署名を使用し、③権利、義務もしくは事実証明に関する文書もしくは図画を、④偽造したこと--となっていますから、罪に問う場合はこれらを立証しなければなりません。

※刑法(私文書偽造等)
第百五十九条  行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

2  他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。

3  前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

刑法の罪に問う場合はなかなかハードルは高いですが、刑法の罪に問われなければやっても構わないというわけでないのは当然です。

どんなに小さな「趣味の世界」とは言え、Directorやセクレタリーとして自ずとその地位に応じた責任を負っているわけですし、TICAのルールに「メンバーの『名義の冒用』をしてはならない」と規定していなくても道義的責任もあることを忘れてはならないでしょう。

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