スルガ銀行「不正融資」と同じ構造問題
みなさんは、金融界で大きな話題となっているスルガ銀行の「不正融資」問題をご存知でしょうか?
スマートデイズ(破産手続き中)のシェアハウス「かぼちゃの馬車」の投資家向け融資を巡り、スルガ銀行などが信用審査に必要な書類を改竄するなどして(スルガ銀行が直接指示したかどうかなど詳細は不明)、過大な融資をしていたとされる問題です。
スルガ銀行は創業家一族が絶大な権力を握り、今回の「不正融資」問題を巡っては、営業部門が審査部門を恫喝するなど、銀行マンとして正しいことを言えない組織風土が背景にあり、増収増益を続けるなかで、利益至上主義が蔓延したとされています。
こうして書いてくると、日大アメフト部の「 危険タックル」事件と全く同じ構造問題が横たわっていることが分かるかと思います。
ということは、TICA Asia(今シーズンからTICA Asia East)で起きている問題も、スルガ銀行問題とその根は同じということになるのではないでしょうか。
この問題に関するダイヤモンド・オンラインの記事に、以下のようなくだりがありました。
「端的に言って、組織の利益と個人の利益が合致した時、組織と個人の暴走は止まらない危険がある」
「不正融資に手を染めたスルガ銀行の個々の行員は、おそらく自分のためというよりは、銀行のためなのだという建前を言い訳にして、データ改竄や不当な信用審査の見過ごしなどを行ったのだろう」
「所属する『組』のためだと思う反社会的勢力の構成員が、組長の命令に従って犯罪を犯したり、もっと一般的なケースでは、兵士が国益や上官の命令に名を借りて平気で殺人を犯したりするのと、構造は似ている」
「これらの場合、組員も兵隊も銀行員も、自分個人の人事評価的利害のためには悪事に関わる方が得だという事情が共通だ」--。
猫界も同じではないでしょうか。
所属する「クラブ」のためだと思うEntry Clerkがクラブオーナーの指示に唯々諾々と従って「出陳拒否」をしたわけです。
TICA Show Rule 23.6.5を適用することで、「出陳拒否」対象者をTICAやクラブ、ショーにとって「有害」な人物であるとレッテルを貼り、そうした出陳者のエントリーを拒否することが、TICAやクラブのためなのだという”虚偽の建前”を振りかざしたのです。
銀行における「自分個人の人事評価的利害のためには悪事に関わる方が得だ」という考えは、「自分の猫の成績という利害のためには悪事に関わる方が得だ」という考え方と一致します。
なぜなら、Entry Clerkがクラブオーナーの指示に従わず、出陳拒否をしなかったなら、クラブを追い出され、どんなに良い猫を出してもファイナルに入れて貰えず、TICA Asiaから排除されていたことでしょう。
ダイヤモンド・オンラインの記事は、「組織だけが悪いわけでも、個人だけが悪いわけでもない。両方悪いし、加えて組織の目的・構造・マネジメントのいくつかが悪いのだ」と指摘しますが、TICA Asiaで起きている問題はこのどれについても当てはまります。
日大の「危険タックル」、スルガ銀行「不正融資」、そしてTICA Asiaで起きた度重なる「出陳拒否」は、当事者と周囲が当初、単なる小さな「問題」と見ていたところに最大の”誤算”があったように思います。
しかし、見て見ぬふりをしていいような小さな「問題」などではなく、いずれも厳然とした「事件」(※「出陳拒否」問題も損害賠償請求事件として裁判で争われている)なのです。
何でもそうですが、問題の本質が分からない、見抜けない人たちが多いと、自浄作用が働かず、組織は腐り果て、最後はとりかえしの付かない悲惨な結果を招くことのだということを、もうそろそろ学んでもいいのではないでしょうか。
※「『IW』のScoring方法について考える」は休みました。