時代の流れと真逆に進むTICAアジア(9)
「多様性」の認識を獲得するためには、一歩も二歩も引いて、組織全体を「俯瞰する能力」と、他の組織や社会と「比較対照する能力」が欠かせません。
このシリーズのタイトルを「時代の流れと真逆に進むTICAアジア」とした理由もそこにあります。
小さな趣味の世界にだけで生きていて、社会や時代の流れを俯瞰することができないと、「井の中の蛙」さながらになってしまい、「多様性」をいくら説かれても理解はおぼつかないでしょう。
普段、真面目に会社生活を送っている人なら、その会社の”常識”と比較対照できます。
働いてなかったとしても、地域社会に地に足をつけて生活していれば、近所付き合いや子供の学校のことなどを通じて、やはり比較対照できます。
自営業であっても、取引先やお客さんをとのやり取りを通じて、社会常識と接し、比較対照できるはずです。
もし、「多様性」をいくら説かれても理解できないということであれば、まさに小さな趣味の世界の中でのみ、生きている実感を得られないかとしか思えません。
そして、私にはそれが健全な人の生きる姿とは思えないのです。
世間の常識や社会常識を前提に、その延長線上に趣味の世界があるのであって、世間の常識や社会常識と隔絶した別世界に趣味の世界があるわけではありません。
「多様性」の重要性を認めることが社会の常識であり、時代の流れであれば、趣味の世界だからと言って無視するのではなく、メンバーひとりひとりがしっかり受け止め、受け入れていかなければならないのではないでしょうか。
組織を構成するメンバーひとりひとりが、世間の常識と社会常識を踏まえ、時代の流れに沿った良識を身に付けていくことで、まともな組織風土が醸成され、発展していくのだと思います。