「出陳拒否」裁判、「判決」のポイント解説⑨
もうひとつ、裁判所の「出陳拒否」に対する理解が欠けているように思える点がありました。
裁判所は「判決」で、「出陳拒否」による精神的損害について、以下のような判断を示しました。
「本件においては、猫が殺されたような場合であれば格別、その品質につき審査を受ける機会を奪われたということのみでは、法的に保護された利益の侵害となる精神的損害の発生は認められない」--。
ここには、今回の「出陳拒否」が抱える問題の一部分についてしか、判断が示されていません。
なぜなら、キャットショーは猫が出陳を申し込み、猫が自分でショー会場に行き、猫が自分でリングに駆け上がって審査を受けるわけではないのです。
「出陳拒否」は、出陳される「猫」が拒否されるとともに、出陳する「出陳者」自身も拒否されるわけですが、裁判所の判断は出陳される「猫」に限ってしか判断を示さなかったように思えます。
単に、自分の猫の審査を受ける機会を奪われただけではなく、出陳者自らがショーに参加する機会をも奪われたわけですが、裁判所はその点については明確な判断を示しませんでした。
「出陳拒否」が、「猫」と「出陳者」の両方を対象にしていることは、TICAのショールール23.6.5に「出陳猫」と「出陳者」が併記されていることからも明らかです。
正当な理由なく恣意的な判断で「出陳拒否」されたところは十分に理解してもらったわけですが、損害賠償のところは一転して”理解不足”が露呈したような気がしてなりません。
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