裁判の「点」と「点」を結ぶ「線」(4)
5つの「裁判」を結んで「線」とした際に見えてくるもの--。
それは、TICAの「プロテスト」という手続きの限界と脆弱性、そして一部で機能不全に陥っている現実です。
前アジアディレクターがオーナーだったクラブ、そして前セクレタリー(現アジアディレクター)が主宰者のクラブにおける「出陳拒否」裁判において、被告側はTICAのボードにおいて「出陳拒否」が問題ない(take no action)とされている旨を主張しました。
しかし、東京地裁が原告側勝訴とするなら、それはTICAのボード決議を覆す「判決」を下したということも意味します。
ここで重要になるのは、原告側はTICAのボードにも、東京地裁にも、同じ証拠を提出し、同じ主張をしているという点です。
別に、国の裁判所でなければならないような高度な法解釈が求められているわけでも、証拠分析能力が求められているわけでもないのです。
だとすると、何のためにTICAにおいて「プロテスト」という手続きが規定されているのか分からなくなります。
こうした苦情申し立て、異議申し立て手続きは、単にルール上、定めておけばいいという類いのものではありません。
実際に機能し、正しく運用できなければ意味がないのです。
今回の一連の「裁判」では、TICAの「プロテスト」の手続きもまた、問われているということを忘れてはならないでしょう。
TICAの活動が新興国へと急速に広がっている点に鑑みれば、現在のルールをむやみに肯定するのではなく、手直しが必要なところがあるなら、積極的に改正していく姿勢が求められていると言えるでしょう。