猫界における「プロ意識」について考える(10)
TICAのあるジャッジが、ブリーダーが猫を選ぶ基準と、ジャッジがショーの審査において猫を評価する基準の違いについてコメントしていたのを思い出します。
ブリーダーは将来的な繁殖を見据え、「この優れた部分が欲しいから(目であったり、耳であったり、体格であったり、性格であったり…)、ブリーディングプログラムに入れる猫を残すかもしれないが、ショーでの審査は『スタンダード』に基づいて総合的に判断する」--。
そうであるとするなら、ブリーダーの血統図は必ずしもトータルバランスにおいて優れた固体だけが登録されているわけではないことを意味します。
目型だけは「スタンダード」にピッタリ沿ったものだけど、他は全く違うとか。外見上は「スタンダード」通りとは行かないけれど、この素晴らしい性格は絶対に受け継がせたいとか…。
逆に、どんなに外見上は「スタンダード」通りでも、遺伝的な欠陥や性格的な問題があればブリーディングプログラムから外し、血統図からは消えてゆくわけです。
しかし、アジアディレクターはあるネットサイトのインタビューでこう語っていました。
「TICAの血統書を持つ猫はスタンダードに近い猫であり、その家系もみなそういう資質を持つ猫であるということ。『スタンダード=血統書』と、両方が同じ位置にあると考えているわけです」--。
「血統書」はあくまで「血統書」であり、それ以上でもそれ以下でもないはずです。
少なくとも、「TICAの血統書を持つ猫はスタンダードに近い猫」という発言は、一般の人の認識をミスリードしてしまうでしょう。
アジアディレクターが言うところの「そういう資質」が何を指すのか分かりませんが、冒頭のジャッジの言葉が正しいなら、決して「その家系もみなそういう資質を持つ猫であるということ」は決してありません。
昨日も触れましたが、「プロ」と「アマ」の違いのひとつに、正確な知識・認識を持てるかどうかと言うことがあり、「プロ」であるなら正確な知識と認識を持っていることが大前提です。
「『スタンダード=血統書』と、両方が同じ位置にあると考えているわけです」という説明は、余りに正確な知識と認識に欠けていると言わざるを得ません。
もちろん、「アマ」の団体であり、「アマ」のブリーダーであるということなら仕方ありませんが…。
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