猫裁判、驚くべき6年前の「陳述書」(4)
「TICAに所属するブリーダーは猫を知り尽くしたプロ集団です」と胸を張ったアジアディレクター自身も、東京地裁に提出した6年前の「陳述書」では以下のように述べていました。
「生後間もなくのころ、2度、カリシウィルスのワクチン接種していることを知っており、私の知識からすれば、ワクチン接種から1年も経っていない平成21年3月ころに(中略)かかるはずがないと思ってはいましたが、他方で、カリシウィルスとはいわゆる風邪の一種であることから、遺伝性はなく、比較的軽い病気だと思い安心しました」--。
昨日、紹介した姉の「陳述書」もそうでしたが、2人は「ワクチン」というものを誤解しているように 思えてなりません。
確かに、「ワクチン」は「予防接種」とも言いますから仕方ないのかもしれませんが、決して完全に予防できるものではありませんし、完全に感染を防ぐものでもありません。
「ワクチン」はあくまで感染した際の「重症化を防ぐ」ものなのですが、この点を2人は理解していないように見えます。
人間のインフルエンザワクチンも同じですが、ある型に効果があるワクチンを接種しても、違う型のインフルエンザに感染してしまうことはよくあるのです。
ですから、仮にある型(株)のFCVのワクチンを接種していても、異なる型のFCVなら感染してしまい、ワクチンの効果が十分に得られないということがあります。
そして、FCVが決して「比較的軽い病気」でないことは昨日、 お話しした通りです。
ちなみにアジアディレクターは6年前の「陳述書」で以下のようにも書いていました。
「私は、平成9年頃から、さいたま市内にある動物専門学校において、週に6時間、同校の生徒に対し、猫学(猫の生態、病気、遺伝等猫全般に関する知識)について教えています。そのため、私は、猫を飼われている一般の方達よりは、猫の生態や病気等に関して詳しいと思います」--。
要は、動物専門学校で教える「猫学」とはこの程度であり、「一般の方達よりは、猫の生態や病気等に関して詳しいと思います」とは言っているものの、実質的には「一般の方達」並みの知識であることが「陳述書」を読む限り、よく分かります。