”甘い薬”は自らを甘やかすだけ…
「良薬は口に苦し」と言います。では”甘い薬”はどうでしょうか…。
”甘い薬”は効かないばかりか、自らを甘やかすばかりで何の改善も見込めないことは容易に想像できます。
経営再建中のシャープが支援企業の交渉相手として台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業を選びました。
当初は日本の官民ファンドである「産業革新機構」と交渉していましたが、土壇場で変更したのです。
いろいろな背景や理由があるとは思いますが、素人の私たちでも注目しておきたい点はひとつ。「良薬は口に苦し」という格言です。
鴻海の提案は「経営陣はそのまま続投」「40歳以下の社員を切ることはない」「太陽電池事業以外は分解することはない」など”甘い”言葉ばかり…。
これに対して「産業革新機構」の再建案は、「シャープ3首脳は退任」「液晶事業を分社してジャパンディスプレイ(JDI)と統合」「白物家電事業は切り離して東芝の白物家電事業と統合」というシャープ経営陣・社員にとっては厳しい内容でした。
これだけを見ても、シャープ側が鴻海を選んだ理由は透けて見えます。”苦い薬”はイヤだと言うわけです。
一方、”苦い薬”を敢えて飲んだ企業として記憶に残るのは日本航空(JAL)です。
再建手法としては一番厳しいとされる会社更生法を使って、結果として見事に蘇りました。
これは企業の話ですが、小さな趣味の組織やクラブも同じでしょう。
”甘い薬”を飲んでだましだまし延命しても、自らを甘やかすばかりで未来が拓けないばかりか、衰退への道を歩むだけです。
“苦く厳しい”薬を飲み、身を削る改善努力をしてこそ、再生・再建への道が拓けることを当事者も周囲も理解しなければならないのではないでしょうか…。