「正しいか否か」妥協せず貫く
JR東海名誉会長である葛西敬之さんの「私の履歴書」が日経新聞で始まりました(※タイトルはこのコラムの見出しから)
彼は当時の国鉄に入社してすぐ、「『ここは自分が一生過ごす場所ではない』との思い」を抱いたそうです。
どんな状態だったか--。彼はこう記します。
「借金漬けの状態になっても組織内の危機感は薄く、問題を先送りするだけの再建計画が繰り返し作られていく」「職場の規律は崩壊していた」「私は、悪慣行がはびこる現場の実態に直面する」--。
しかし、彼はそうした中にあってなお、「『正しいか否か』だけを判断基準として妥協せず、筋を通すしかない」「労組となれ合う本社の方針に逆らうことで、いや応なしに自立したのだ」と語ります。
何が彼をしてそうさせたのでしょうか。
彼は「そのような厳しい状況のなかで、身を削るようにして鉄道の使命を果たそうとする現場管理者たちに出会った」と書き、「彼らを守り、国鉄を生き返らせるためにはどうすればいいのか」を考えたといいます。
TICAアジアもある意味、当時の国鉄と同じような状況にあるように思えてなりません。
もし、TICAアジアの中に、「身を削るようにしてTICAの使命を果たそうとするジャッジやメンバー」がいるなら、「TICAアジアを生き返らせるためにはどうすればいいのか」を一緒になって真剣に考えたいと思います。
国鉄の民営化がどれだけの困難と時間をかけて実現したかは、みなさんご存知の通りです。
TICAアジアの再生もまた、想像を超えた困難と時間がかかることを覚悟しなければならないのかもしれません。
※葛西敬之氏はJR東日本の松田昌士氏、JR西日本の井手正敬氏とともに、「国鉄改革3人組」と称され、国鉄の分割民営化に尽力した方です。