「他山の石」とすべき東芝事件(3)
東芝の不適切会計問題が大きな衝撃だったのは、東芝が企業統治の仕組みを他社に先駆けて整え、「先進的な企業」イメージだったにもかかわず、起きたことでした。
当初、海外の投資家の間では、ある”誤解”があったと言います。
それは「東芝のガバナンス(統治)がしっかり機能しているからこそ明らかになった問題だ」と受け止め、楽観視していたと言うのです。
東芝が「監査委員会」などを備えた、いわゆる「委員会設置会社」に移行したのは今から10年以上まえの2003年のこと…。
ですから、今年4月にこの問題を初めて公表した時も、海外投資家は「『社外の目』がきちんと行き届いているからこそ問題が発覚したのだろう」と思い、「東芝は自浄作用を働かせてうまく解決するだろう」と期待していたと言われています。
しかし、実際は違いました。
「監査委員会」は機能不全に陥り、”先進的な仕組み”は絵に描いた餅になっていたのです。
実は、今回の問題は「証券取引等監視委員会による報告命令」により明らかになったのでした。決して東芝が自ら進んで調査に乗り出したものではありませんでした。
しかも、社内取締役でもある監査委員の指摘があったにもかかわらず、「監査委員会」で取り上げられなかった事実も明らかになりました。
そこにあるのは「仕組み」や「ルール」だけ作って満足し、実際の運用や中身が伴わない典型的な失敗例です。まさに「仏作って魂入れず」だったと言えます。
翻って、TICAはどうでしょうか?
ルール自体は充実しているように思えますが、全てのルールが”空文化”されず、”形骸化”せず、忠実に適用されているでしょうか?
「プロテスト」の手続きや制度は機能不全や機能マヒに陥っていないでしょうか?
そう考えれば、東芝の問題は遠い企業の出来事ではないはずです。