超えねばならない”ハードル”
実際に「IW」を取れるかどうかは別にして、「IW」を目指して頑張るブリーダーが増えることはいいことだと思っています。
なぜなら、そこには超えねばならないいくつもの”ハードル”があり、「IW」を目指すことで、どんなハードルがあり、どのように乗り超えねばならないかを学ぶのはブリーダーとしてとても勉強になると思うからです。
そこで思い出されるのが漫画「エースをねらえ!」の宗方コーチと岡ひろみのやり取り…。
宗方コーチは恋心に揺れる高校生の岡ひろみにこう諭します。
「岡。一流プレイヤーを目指すなら、お前は女であることを超えなければならない。誰もが、女ゆえの苦しみ哀しみを持っている。道を極めようと挑んだ多くの女が、女であることに甘え、恋に破れ、愛に挫折し、そこで血を流しきる」
「だが、お前はそうあってはならない。道を極めたければ、女であることを超えて、その先に進まなければならないのだ。 忘れるな。テニスに挫折すれば、恋にも破れるぞ」
「IW」を目指すブリーダーにとっても、宗方コーチの教えは胸に刻まねばならないでしょう。「IW」を目指して走っているなら、その猫に「オス」であること、「メス」であることを超えさせねばならないのです。
安易にブリードに使って、「繁殖」も「IW」もなんてことはあり得ないのです。(※あり得る類い希な猫もいるかもしれませんが…)
とは言え、そうした認識を持たないブリーダーが多いのも事実…。
その証拠に裁判では、不当にエントリーを拒否された出陳者に対し、被告側のひとりが裁判所に提出した「答弁書」でこう述べたそうです。
「○○氏(エントリーを拒否された出陳者)の所有する猫はオスであり、ショーに出陳するために繁殖に使えないことはない」--。
別の被告のひとりもこう主張したそうです。
「原告○○(同上)所有の猫は雄であり、ブリードに供さないということはない」--。
原告の出陳者は”遊び”でそのオス猫をショーに出しているのではありません。
「IW」「LA」などいくつもの目標に向かって真剣にショーに出しているのです。
裁判で双方の主張が噛み合わない背景としてこうした認識の違いがあるのは、恥ずかしい限りであり、残念としかいいようがありません。