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2015年1月16日 (金)

驚き呆れ果てた被告側の「主張」(4)

誤解を生みやすい表現を逆手に取っての戦略でしょうか…。あるいは誤解を生む訳だと分かった上で意図的に悪意ある解釈をしたのでしょうか…。

TICAのショールール23.6..4の日本語訳に致命的な誤訳があったことは指摘した通りですが、新たに23.6.5について誤解を生む和訳が発覚しました。

不当な「出陳拒否」で訴えられた被告側は間違った日本語訳に基づいて「出陳拒否」したことが、裁判を通じて明らかになったのです。

ショールールの日本語訳によると、23.6.5は「出陳行為前や出陳者自身が協会の権益、猫の幸福、もしくはクラブやショー自体の繁栄を妨害する」となっています。

原文はどうなっているかと言うと、「Prior conduct of the entry and/or exhibitor is detrimental to the best interest of the association or the welfare of cats or the club and/or its show」です。

このブログで英文法を説明しなければならないこと自体、情けない話ですが、誤解を生む和訳があり、それを分からずに適用して、不当な「出陳拒否」を強行したアジアディレクターらがいるのですから、仕方ありません。

まず、主語は何かというと、「Prior conduct」です。「Prior」は「以前の」「過去の」という意味で、具体的な用例としては「prior arrest(逮捕歴)」などがあります。

この後に続く「of the entry and/or exhibitor」は、「Prior conduct」にかかる修飾句で、それに対する述語が「is detrimental(有害な、弊害をもたらす)」です。

「to the best interest of the association or the welfare of cats or the club and/or its show」は述語の「detrimental」にかかる修飾句となります。

要するに、この規定は過去においての言動を対象にしているわけです。

しかし、日本語訳はあたかも2つの文章から構成されているように訳しています。

それは「出陳行為前」と「出陳者自身が協会の権益、猫の幸福、もしくはクラブやショー自体の繁栄を妨害する」というものです。

アジアディレクターをはじめとする被告側は23.6.5の和訳に基づいて解釈して、「出陳拒否」したのです。

その証拠に、被告側は裁判において、原告が繁殖した猫を持つオーナーの猫を出陳拒否した理由について以下のように主張したそうです。

このオーナーの猫の出陳を認めると、「関係者である原告○○や訴外○○(私)がキャットショーに来場し、クレームを述べるなどしてショーの運営に支障が生ずる可能性が認められたことは明らかで、やはり本件ショールール23.6.5に該当するものである」

私たちが「キャットショーに来場し…」というのは被告側の将来の出来事に対する臆測に過ぎず、「クレームを述べるなどして…」も同様の臆測に過ぎず、「支障が生ずる可能性」も臆測に過ぎません。

もし、こんな臆測だらけのことで容易に「出陳拒否」できるなら、ルールも何も必要ありません。

「この人は暴力を振るいそうだ」「あの人はショー会場で出陳者の財布を盗みそうだ」「あの人が来るとショーの運営に支障が生ずる可能性がありそうだ」--。

臆測や邪推を巡らせれば嫌いな人からの出陳や、成績のいい猫を持つ出陳者を恣意的にいくらでも拒否できてしまいます。

ショールールの勉強をしているメンバーも多いと思いますので、ここではっきり述べておきますが、23.6.5は過去にまつわる出来事について規定したルールです。

将来についての可能性や臆測・邪推についてまで規定したものでは決してありません。

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