”暴挙”か”愚行”か?不当な出陳拒否再び(14)
「この裁判が終わるまでこの方針はつらぬきます」--。
アジアディレクターを務めるクラブオーナーは、不当なエントリー拒否を理由に裁判を申し立てた出陳者に対し、こう”宣言”したそうです。
裁判がいつまで続くか分かりませんが、半年やそこらで終わるとは思えません。
アジアディレクターはこれまでも別の件でブリーダーから訴えられて裁判を争っていますから、裁判がどういうものであり、どれくらいかかるかは理解しているはずです。
そうであるなら、冒頭の言葉の真意をどう測ればいいのでしょうか?
アジアディレクターがオーナーを務めるクラブは2月に1回、3月に1回、4月に3回ショーを開くようですから、裁判が続く限り、この出陳者は参加できないことになります。
となると、アジアディレクターの”真意”を「出陳を拒否されたくなかったら、2月までに訴えを取り下げるか、和解に応じろ」と考えたとしても、全くの的外れとは言えない気がします。
人がどのような意図で発言しようと、言葉の受け取り方は人それぞれですから、これを原告側がある種の”脅し”と受け取っても不思議ではありませんし、この発言を聞いたTICAアジアメンバーが「裁判を起こすと出陳拒否される」と怯えても、それなりの理由があると言えるでしょう。
私はこれに関連してあるニュースを思い出しました。山口組ナンバー2の高山若頭を巡る裁判の報道です。
高山被告は1審京都地裁の初公判で「恐喝しようと思ったことはなく、全く関知していない」と述べるなど一貫して無罪を主張したそうです。
しかし、昨年3月の地裁判決は、高山被告が京都の料亭で男性に「今後もよろしく」と述べた点を、「男性を配下とし、みかじめ料の支払いを求めた発言だった」などと共謀を認定。「責任は免れない」とし、懲役6年の実刑判決を言い渡したというのです。
高山被告は控訴したそうですが、今年2月の2審大阪高裁判決も、高山被告から「いつもすまんな」と声をかけられたなどとする被害男性の供述を「ほかの関係者供述などと整合しており、信用できる」と判断し、控訴を棄却したと書いてありました。
「今後もよろしく」「いつもすまんな」という普通の言葉が、ケースによっては裁判で「共謀」の認定根拠となるぐらいです。
「この裁判が終わるまでこの方針はつらぬきます」というアジアディレクターの言葉を、ある種の”脅し”と受け取る人がいても全然おかしくないでしょうし、この出陳者がアジアディレクターから「”裁判”を取るか、”出陳”を取るか、二者択一を迫られた」と感じたとしても不思議ではありません。
私はこの発言が”脅し”や”強要”に当たるかどうかだけでなく、TICAのジャッジ、TICAのディレクターとして倫理的、道義的に適切な発言であるかどうかも裁判で明らかにして頂きたいと願っています。