涙ながらの懇願も突っぱねる
「○○先生ひとりが頼みの綱です。ベストを貰えれば、私は人の情に涙を流すことでしょう。どんな苦しみとも戦って生きていけます。お笑いにならずに、私を助けて下さい」--。
もし、審査前にこんな手紙が舞い込んだら、果たしてどうするでしょうか…。
実は昭和11年、太宰治が芥川賞選考員の佐藤春夫に、こんな感じの「芥川賞をもらえれば…」と書き記した手紙を送っていたそうです。
結果は落選…。太宰は賞金500円を手にすることはすることはできませんでした。
すると太宰は次に川端康成にも訴えたとのことです。しかし、結局、この時も選に漏れたそうです。
業界によっては、選考委員の方から「私の言うことを聞けば賞をあげますよ…」と囁きかけるところもあるなかで、文学界はなかなか立派に思えます。
もし、文学界が選考委員の方から「賞をあげますよ…」なんていう世界だったら、恐らく優れた文学者など出てこなかったことでしょう。