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2014年3月29日 (土)

「合議の秘密」も破られる事はある

裁判制度において「合議の秘密」という約束事があるのをご存知でしょうか?

3名以上の裁判官らが合議によって裁判を行うことを「合議審(ごうぎしん)」といいますが、たとえ裁判官の意見が分かれて「合議割れ」と呼ぶ状態になったとしても、評議の内容や心証、意見は秘密にしなければならない(裁判所法75条2項)というものです。

TICAにも「秘密会議」なるものがあり、ルールで定められていなくても「内容を公言しない」ことを条件に話し合いが持たれるケースがあります。

確かに「ルールはルール」であり、「約束は約束」ですが、私はそれが「絶対」とは思っていません。

例えば再審開始が認められた袴田事件の裁判…。

1968年に静岡地裁で死刑判決を書いた裁判官は袴田氏の無実を信じていましたが、裁判長と他の裁判官が死刑を主張していたため、やむなく自身の意見を伏せて死刑判決を書かなければなりませんでした。

彼は半年後、そのことに耐えられず退官して弁護士に転じ、2007年になって「無罪の心証があった」と初めて告白したのでした。

退官後であっても、裁判における「合議割れ」の実態を告白する行為は裁判所法75条2項に違反するものとされ、当時、厳しい批判にさらされました。

しかし私は、彼が「裁判官の”良心”とは何か」を問い続け、「自分は他の裁判官を説得できなかった。償いをしたい」と訴えた心の叫びに強い共感を覚えます。

口を閉ざすことで「悪」を見過ごし、結果として「悪」に加担したことになるのなら、”約束事”を破ってでも話すことが私には人としての”ルール”だと思えるからです。

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