「一つ目国」の悲劇から学ぶこと
十数年前、ある方から聞いた「『一つ目国』の悲劇」というおとぎ話を思い出しました。ある人が旅の途中で道に迷い、摩訶不思議な世界に足を踏み入れてしまったのです。なんとそこの住人はみんな目が1つしかない「一つ目国」でした。
2つの目を持つのはこの旅人だけ。この国の住民はみんなが奇異な眼差しで彼を見ました。もちろん彼自身も初めは1つ目の住人に驚きました。ただその国で生活していくうちに、彼は心の奥底から不思議な思いが広がっていくのを感じたというのです。
「もしかしたら2つの目を持つ自分の方が異常ではないのか」。そうした疑いを日増しに強くしていった彼はついに片方の目をつぶし、みんなと同じ1つ目になったのです。
たとえ初めは正義の人でも、悪に染まるうちに自分の正義を疑うようになり、ついには正義を曲げてしまう…。TICAアジアにおいてはこのおとぎ話のようなことが決して起きないことを祈るばかりです。